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鹿島槍ヶ岳2889m
正月に鹿島槍ヶ岳に行かないかとメールを頂いた。ラッセル要員として誘われたと思うが、基本的にラッセル泥棒をして山頂にアタックする予定である。
関西大学で山岳部の主将を努めた大橋さんと、初めて冬山登山は正月の富士山だった武田さんと3人で登ることになった。モンベルで働いてる大橋さんは、着ている物が全部モンベルである。当たり前だが、新しくて羨ましい。
前日に防水処理をしたノースフェイスのジャケットとズボンは、きっと行動中に濡れて不快になるだろう。パウダースカートがあれば、モンベルのオーバーズボンを買いたいところだが、今回は我慢して自宅を出発した。

大晦日の夕方から降り出した雪は、サンアルピナ鹿島槍スキー場の駐車場で50cmほど積ったようだ。無理やり進入を試みるがスタックして前進できない。除雪作業が終わるまで道路脇で待機する。作業員に場所を指定され、やっと駐車できるようになった頃、青空が見えてきた。

指定の時間に仲間が現れないのでゲート前から数m歩いてみるが、トレースを外すと太股まで雪がある。まだまだ降り続きそうな感じで、駐車場から輪カンを装着して歩きだす事にした。


大谷原までやってくると川崎山岳会のテントがあった。西俣出合い方面にラッセルしてるようだが、トレースもバッチリで一安心。しばらくすると一生懸命ラッセルしてる人達に追いついた。どうやらテントの人達である。先頭を変わってラッセルしなが進むと、西俣出合いから撤退してきた人達がラッセルしながら下ってきた。話を聞けば、高千穂平から先は誰も進んでいないようである。

西俣出合いに到着したが、トーレスが無くて、その先に進むか判断に迷う。とりあえず偵察しながら赤岩尾根に取り付くが、しばらくすると高千穂平から5時間掛かって下山してきたパーティーがやってきた。胸まで雪があって、その先にトレースが無いと言っている。とりあえず明日の目標は高千穂平に決まったので、早めに寝ることにした。


1人〜2人用のテントは悪夢の生活だった。寝返りができず、サンドイッチのように両サイドから挟まれていたのでピクリとも動けなかった。背中も痛いし、寝たのに疲れている。夜は強い風が吹いてたらしいが、朝になって、ようやく窮屈な生活から開放された。

前日のトレースが消えかかってて、急な斜面は完全にラッセルとなった。昨日に比べてラッセルは楽になったが、急登が続くので、重いザックを背負って登ると大変である。


高千穂平に到着すると爺ヶ岳の大きさに圧倒されてしまう。鹿島槍ヶ岳は雲の中だが、この調子だと予定を変更して、行ける所まで駒を進めたほうが良さそうだ。誰かは小さな声で「冷池山荘」と言っているが、きっと明るいうちに赤岩尾根の頭に到達できないだろう。

 


2320m地点にテントを設置して、明日に望みを掛ける。元旦の天気予報だと3日は晴れとなっていたが、携帯電話で天気図を見ると日本海に低気圧が発生している。4日は天気が崩れて雨になるらしいので、明日が勝負だ。

暗くなって外に出てみると、サンアルピナ鹿島槍スキー場の明かりが綺麗だった。大町や長野の夜景も綺麗で軽井沢方面も見える。風が無ければ最高だけど、雪が舞っているので早々にテントに戻って、窮屈なテントで寝ることにした。


昨日より、さらに狭くなったテントで激痛に襲われ、目が覚めた。5時出発が色々と遅れて6時になったが、今日は無風で見わたす限り雲は無い。浅間山もバッチリ見えて、噴煙が西へ流れている。高気圧が去っている証拠だ。

今日もラッセルが続くが、稜線に到達すれば楽になる。日の出の時間になったので、足場を作ってカメラを取り出すが、先頭がラッセルをする度に雪が落ちてくる。弱層も見つからず、雪質も安定しているので、のんびり出来たが、輪カンを履かないと足元が崩れて、なかなか前に進まない。


今日が元旦の気分だ。鹿島槍ヶ岳もピンク色に染まり、感動的な瞬間だった。
カモシカやウサギの足跡が多くてビックリしたが、雷鳥と同じ場所で生活してるのが不思議だ。ウサギは穴を掘って雪洞生活をするが、カモシカはどうしてるんだろうか?


爺ヶ岳がヒマラヤ襞になっていた。凄い景色である。赤岩尾根の頭に到着すると剱岳や針ノ木岳が良く見える。風は強いが日本海も見えるので、いったい何処まで晴れているのか疑問に思う。

 


トレースがあって、難なく冷池山荘に到着した。近くに誰もいないようだ。冷池山荘に到着した時は、楽勝ムードだったが、その先にトレースが無い。再びラッセルをしながら樹林帯を越えると、今度は強風が待ち構えていた。
カメラを取り出すこともできず、耐風姿勢を取りながら布引山を越えて、鹿島槍ヶ岳に近づく。だが、山頂に近づくにつれて風が強まり、風が弱まるの見計らって進む。

長かった道のりも終わり、やっと山頂に立つ事ができた。突風が吹き荒れる山頂は、雪煙のおかげで五竜岳方面がハッキリ見えない。どんどん雲が増えて暗い空になってきた。もう天気が崩れかけてるようだ。


駆け下るように冷池山荘を目指すが、強風で目が開けられない。手で視界を確保しながら来た道を戻るが、稜線にあるはずのトレースが見当たらない。どうやら風で消えたらしい。再びラッセルしながら冷池山荘に戻る。

赤岩尾根の頭から下降する予定だったが、雪質が安定してた為、夏道からテントに戻る。急いで撤収して、今日中に駐車場まで戻らなけらればならない。気が遠くなるほど遠い。


尻セードしながら快調に高千穂平までやってきた。自分達が登ってきたトレースも、しっかり残ってて、鹿島槍ヶ岳ともお別れである。

最初にテントで泊まった場所まで戻ると日が陰り始めていた。気温が上昇してたようで、林道脇で雪崩が発生していた。斜面から転がり落ちたロールケーキが芸術的だったが、真っ暗で撮影できなかった。


第1日目
駐車場(8:08)〜大谷原(9:11)〜西俣出合(12:55)

第2日目
西俣出合(5:00)〜高千穂平(11:22)〜2320m地点(15:10)

第3日目
2320m地点(6:00)〜赤岩尾根の頭(7:32)〜冷池山荘(7:53)〜鹿島槍ヶ岳(10:57)〜冷池山荘(12:38)〜2320m地点(13:37)〜高千穂平(14:51)〜西俣出合(16:37)〜駐車場(18:24)

2005月1月1〜3日


登山をされる方へ

日帰りで帰ってこれる山登りが中心となっています。
山に登られる方は地元の警察や登山地図を参考に登山計画を立ててください。なお、このサイトはあくまで私が見た現地の様子なので、参考程度に御覧下さい。